アラフォーならぬアラフィフ文系女子が、超一流フリーランス特許翻訳者になるため、子育てや家事をしながら日々学習に全力投球!翻訳、特許、学習、子育て、日常などをブログに綴ります。
リソグラフィ

液浸露光 vs EUVによる微細化、そしてその未来は

EUVを使わずに微細化を目指すには

ニコンの主流は、引き続き液浸露光技術

現在、EUVリソグラフィ技術にとても興味があります。

今回のSEMICON Japan2018のセミナーで、ASML社やGigaphoton社によるEUVの行方について話を聞くことができ、参加してよかったと思いました。

その反面、日系の露光装置製造企業に関しては、EUVリソグラフィ技術で遅れをとっている兆候が見えたため、大丈夫なのかなと少し心配になりました。

出展企業の中で一番訪れたかったブースは、カメラやレンズだけでなく、露光装置製造でも有名なニコンです。

ニコンの場合、液浸露光、現在は特にArF液浸にかなり力を入れていることがわかりました。

今現在、ArFエキシマレーザーを用いた「ArF液浸スキャナーNSR-S635E」が、ニコンの最新技術となっています。

リーフレットにも記載されている通り、「業界最高水準の5nmプロセス用」のスキャナーなのですが、ArF液浸露光装置は、来年2019年には量産販売されるといわれているEUV露光装置に、どう対抗していくのでしょうか?

ニコンのブースで、今後EUVも視野に入れいてるのかと質問しましたが、「今はEUV露光に向かうことなく、この液浸露光技術の更なる開発を進めていく予定」とのことでした。

液浸露光技術とは?

半導体露光装置のレンズとシリコンウェハの間を、空気(屈折率1.00)よりも屈折率の高い純水(屈折率1.44)で満たすことで、従来の限界であった40nm以下での半導体製造が可能となりました。

参照:Nikon半導体テクノロジー

この液浸露光技術により、より高い解像度を達成できるようになったのです。

しかし、これでは40nmノード程度であって、EUVの7nmノード、またはそれ以下に対抗することはできません。

実際に、上記のArF液浸スキャナーNSR-S635Eでは、5nmに対応しているとリーフレットに記載されています。

では、どうやって?

ここで登場するのが、マルチプルパターニングです。

マルチプルパターニングとは?

マルチプルパターニングとは、1つの回路パターンを、現行の半導体露光装置で転写できる2つ以上の密集度の低いパターンに分割露光し、これらのパターンを組み合わせて、最終的に密集度を高める技術のことです。

ここで、マルチプルパターニングの1つである、ダブルパターニングのプロセスのうち、2つの代表例を紹介します。

“https://www.cadence.com/japan/archive/soconline/vol13/tec1/all.html”より引用

LELE

図1(a)のLELEとは、”Litho-Etch Litho-Etch”の略で、1回目の露光で形成したパターンをエッチングして固定し、2回目の露光で1回目のパターンの間に線を形成する方法です。

露光が2回必要で、位置合わせの誤差を極めて小さくするように管理しなければならないという弱点はありますが、加工するパターンの制約はあまりありません。

SADP

図1(b)のSADPは、”Self Aligned Double Patterning”の略で、露光装置で形成したグリッド構造(縦に密集した壁)の密度を2倍にする(ピッチを半分にする)技術です。

まず露光装置で形成したグリッド構造全面に、膜厚が均一な薄膜を形成します。

次に側壁以外の部分の薄膜を除去します。

さらに最初のグリッド構造の壁を除去すると、側壁にあった薄膜のみが残ります。

側壁両面の薄膜が残りますので、当初の2倍のグリッド構造を構築することができるのです。

SADPは、平行な直線群(いわゆるライン&スペース)のパターン加工に限定されるという制約はありますが、露光が1回で済むことと、位置合わせの誤差管理があまり厳しくないという利点があります。

このダブルパターニング(2回露光)でも、20nmが限界といわれていますので、これよりもさら解像度を上げたいのであれば、やはりトリプルパターニング(3回露光)やクオドルプルパターニング(4回露光)が不可欠となってきます。

しかし、マルチプルパターニングによる微細化が進むと、露光回数が増えるため、スループットが低下したり、レジストやエッチングなどの材料コストが増加するという欠点があります。

EUVと対抗するために、7nm、5nm、さらに3nmと解像度を上げていくのは、至難の業といえるでしょう。

日系露光装置製造企業の未来はある?

ニコンを筆頭に、日系の露光装置製造業企業は生き残っていけるのでしょうか?

Semicon Japan2018で、USHIO電機の方に露光装置について質問したときには、「うちは、大企業とはまったく別のマーケットだから」というような答えが返ってきました。

EUVで他企業と真向から勝負するというよりは、ニッチ市場で顧客を獲得する戦略のようです。

自分は日本人ですので、ぜひ日系企業に頑張ってほしいと応援しています。

しかし、露光装置に関しては、キヤノンが先端微細化プロセス向け市場からすでに撤退しているように、日系企業全体が、これから徐々に別の形に移行していくような気がしてなりません。

杞憂に終わればいいんですけどね。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です