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気づき

訳語と自分への戒め

現在、とある会社でカスタマーサポートの翻訳の仕事をしていますが、できるだけ早くフリーランスの特許翻訳者として稼ぎ、楽に家族を養っていけるくらいの生活レベルまでに達したいと、日々学習に励んでいます。

先日、会社で翻訳作業中に、同僚の英訳したサポートメールを読み、びっくりしてしまいました。

原文日本語「〇〇運営事務局です」の英訳部分なのですが、英訳したものが、”〇〇 Executive Secretariat”となっていました。

このクライアントは、国連やAPECなどの行政機関や国際機関などではなく、普通の日本の中小企業です。「名前を”カスタマーサポート”にしちゃうとなんか軽いイメージだから、運営事務局って呼ぼう」という感覚で、クライアントがつけた名称だと思われます。

私自身で勝手に名称を決定することはできないため、サポートメール内でそのまま日本語で明記するか、または適切な英語に書き換えるかの確認と、英語に翻訳する場合の名称の選択肢を複数含め、クライアントに詳細伺いをしました。そして、今後の対応をどのようにするかの結論に達しました。

残念ながら、”〇〇 Executive Secretariat”はすでにお客様にメール送信済みだったため、もう取り返しがつきません。しかしなぜ同僚はこのような訳語を付けてしまったのかと考えました。

たどり着いたのが、オンライン辞書Weblio。ここで「運営事務局」と記入して検索すると、” Executive Secretariat”が出てきます。確かに、「運営事務局」には” Executive Secretariat”の意味もあるけれど、万能ではない。

例えば、Riceはお米だけれど、ご飯という意味で使う場合もあります。日本では「先生」とひとくくりで呼ぶことのできる人達も、英語であればprofessorだったりdoctorだったりと使い分けが必要になる時があります。教諭などなら、日本語なら「〇〇先生」呼ぶところを、英語でなら普通にMr.〇〇やMs.〇〇を使ったりします。

ここで、ハッと気が付きました。これがいわゆる置換屋さんなんだ、と。同僚は” Executive Secretariat”=「運営事務局」の置換作業し、” Executive Secretariat”がどのような場合に使われる言葉なのか、何の疑問も持たなかった。また、クライアント側が意図する「運営事務局」の意味も考えなかった。頭を使わず、オンライン辞書に載っている単語をコピペしてしまった、と。

「こんなこと、常識で考えたらわかるでしょ」とふと意地悪な気持ちが芽生えましたが、実際、自分が特許翻訳をする際に、この同僚と同じ間違いを犯さないかと聞かれたら、「絶対に同じ間違いはしない」と言い切れません。

明細書に書いてあることは、「当業者にとって、これは知ってて当たり前のこと」ですが、専門知識の足りない自分からしてみれば、「当たり前」ではないのです。専門知識がないため、「この文章、なんか不自然だよね」という感覚が持てないからです。特許翻訳者としての自分の翻訳技術・能力は、大して同僚と変わらないレベルなのかもしれない、と恐ろしくなりました。

まさしく、「明日は我が身」、「人の振り見て我が振り直せ」です。これまでに、管理人さんにいろいろと指摘やアドバイスをいただいたことからも分かるように、自分には足りていない物事がたくさんあります。

少しでも早く高くらせん階段を登っていけるように、自分に足りないものを補充していくつもりです。補充の際は、効率性、優先度、可視化などを考えながら進めていきます。

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