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トライアル準備

訳語の選択で、ふと立ち止まる

RFスイッチのデータシートで奮闘中

 

現在、RFスイッチのデータシートの対訳に取りかかっています。

まずは自分で訳を考えてから公開訳文で確かめるようにしていますが、「ああ、こうやって訳せばいいのか」と学ぶことがたくさんあり、今後役に立ちそうな表現をそのつど知子の情報にストックしています。

翻訳作業中の疑問点

Industrial scanner

そんな中で、「これを公開訳文のように訳す(推測する)ことはできないな」と思ったのがこちら。

【原文】

Industrial scanner

【公開訳文】

工業用センサ

これは、RFスイッチのアプリケーション(用途)の1つです。

©アナログ・デバイセズ(ADRF5024)

このような場合、「工業用スキャナ」や「産業用スキャナ」やなどと訳してもおかしくはないのでは、と思うのですが。

それとも当業者であれば、”Industrial scanner”と見たら、「ああ、工業用センサに使うんだな」とわかるものなのでしょうか。

Common Port

これが実ジョブで、かつ用語集が配布されれば悩まなくてもいいだろうな、と思った例がこちら。

【原文】

common port

【公開訳文】

共通ポート

公開訳文では「共通ポート」が使われていましたが、その他にも「共通端子」、「コモン端子」、「COM端子」、「コモンポート」といろいろな呼び名があり、どれが使われてもおかしくないようです。

Googleで検索した際には、「共通ポート」より「コモン端子」の方が多く使用されているので、自分なら後者を選ぶと思います。

beyond the maximum operating conditions

【原文】

Operation beyond the maximum operating conditions for extended periods may affect product reliability.

【公開訳文】

デバイスを長時間にわたり絶対最大定格状態に置くと、デバイスの信頼性に影響を与えることがあります。

この公開訳文では、”beyond”の部分が訳されていないと思いました。

絶対最大定格(the maximum operating conditions)の定義は、「瞬時たりとも超過してはならない限界値で、また2項目以上規格値が定められている時、どの2つの項目も同時に達してはならない限界値」(JIS7032)です。

公開訳文のように「絶対最大定格状態」とすると、絶対最大定格のことなので、許容範囲のはず。

上記の理由により、「絶対最大定格を超えた状態での動作は」にする必要があると思います。

当業者の視点からデータシート(英語)を読む

翻訳者が翻訳作業中に難しいと感じるのは、たぶん技術的な知識が少ないからではないでしょうか。

少なくとも自分の場合は、英文がわからない(英単語や文法を知らない)わけではなく、原文英語の文字は読めるけれど(字面は追えるけれど)、書かれている文章の意味が理解できないという問題の方が確実に多いです。

文章の意味がわからないと、”Tree=木”と置換することで逃げてしまいがち。

「抵抗」のことを説明している文章なのにもかかわらず、調査なしで勝手に”resistance=耐性”としてしまったり。

なので、知らない用語、わからない知識はできる限り調べ、置換屋に成り下がらないように極力気を付けています。

データシートに関した記事を探していたら、EDN Japanでこんなシリーズを見つけました。

英文データシートを“読まずに”活用するコツ

全部で12記事のシリーズですが、技術者の方々の視点からデータシートの活用方法が解説されていて、なかなか面白かったです。

ダウンロードした資料が全部英語!

でも、われわれ日本人の多くのエンジニアにとって、言葉の壁は低くありません。こんなことはありませんか? 海外の半導体ベンダーのWebサイトにアクセスして、表示言語の選択肢をチェック。日本語がある、ラッキー。製品を特性パラメータで絞り込んで検索し、目を付けた製品の技術情報ページを開く。製品の概要がちゃんと日本語化されている。いいぞいいぞ。もっと詳しく調べようとデータシートをダウンロード。そのPDFファイルを開くと……全部英語。そっと閉じる。

あるいはこんなことも。それでも理解しようと読解に挑むも音を上げ、ならばとインターネット上で利用できる翻訳ツールにコピーした英文を放り込んでみる。そうしたら結果があまりにも直訳すぎて、何を言っているんだか逆にサッパリ分からず、とうとうあきらめた……。

 

EDN Japan: 「英文データシートを“読まずに”活用するコツ(1)」より引用

やはり日本人の技術者の方々も、英語の資料を理解するために、翻訳ツールを使ったりするんですね。

この著者が試した時は全く意味がわからない和訳になり、「この日本語だけを読んで、元の英文が伝えている内容を正しく理解するのは難しいでしょう。」と結論が出されていましたが、これは2012年の話。

2019年現在のGoogle翻訳の質は、7年前に比べたら格段に向上しているはず。

はやりプロの翻訳者であればちゃんと原文を理解した上で訳す必要があり、それができないとなるとGoogle翻訳にさえ負けてしまうのでしょう。

「正しく訳されている上に自然な文章」だと日本人の技術者の方たちに言ってもらえるような翻訳をすることが、今の夢であり目標です。

トライアル応募も迫ってきました。

「トライアル合格」、「実ジョブ獲得」の目標もちゃんと視野に入れながら、学習を進めていきたいと思います。

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