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半導体

次世代パワー半導体:GaN(基礎編)

半導体の材料は?」と聞かれたら、何を思い浮かべるでしょうか?

ひと昔前でしたら、Si(シリコン)が当たり前でしたし、今現在もパワー半導体の主力は、シリコン半導体です。

しかし、時代の変化とともに、急速に省エネルギー化やデバイスの小型化の需要が拡大し、シリコン半導体の限界が近づいてきていると言われています。

そんな中、次世代パワー半導体として、最近GaNSiCが注目を浴び、また研究・開発が進められてることを、ご存知な方も多いはず。

「最近注目を浴びている」なんて言ってしまうと、数年前にGaNやSiCの研究が始まったかのように聞こえてしまうかもしれませんが、実際は1980年代からデバイスの開発が始まっていましたし、パワー半導体における実用化レベルの研究についても、10年以上前に開始されました。

今回はGaNの基礎に絞って、まとめてみました。

GaNってどんな物質?

GaN(窒化ガリウム)は、Ga(ガリウム)元素とN(窒素)元素を組み合わせた人工の化合物です。

ガリウムナイトライドとも呼ばれています。

周期表

それぞれの元素が、周期表でどこに位置しているのか見てみましょう。

周期表

参照:Yoshi-G’s Storage Room

Gaは原子番号31の金属元素で、B(ホウ素)やAl(アルミニウム)などと同じⅢ族元素に属しています。

Nは原子番号7の非金属元素で、P(リン)やAs(ヒ素)などと同じⅤ族元素に属しています。

結晶構造

GaNの結晶構造

参照:Wikipedia

電気をよく通す「導体」と、ほとんど電気を通さない「絶縁体」の中間の、「半導体」の性質を持ちます。

従ってGaNは、Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体の一種となります。

このⅢ-Ⅴ族化合物半導体の中にも、実はいろいろな種類があります。

GaNは2元素系で、GaAsや、GaPがその同種です。

Ⅲ-Ⅴ族化合物半導体の3元素系には、GaAlAsやInGaAs、4元素系にはGaInNAs、InGaAlPなどがあります。

これらも、電界効果型トランジスタや受光素子、太陽電池など、いろいろな用途で使われています。

GaN結晶技術の発明と青色LEDの発明

1985年に赤﨑勇教授と天野浩教授が、GaN結晶の生成技術の発明に成功しました。

そしてこれを元に、1993年に中村修二教授が、世界初の実用的な高輝度青色LEDを発明。

この3名の日本人研究者は、青色LEDの発明を評価され、2014年にノーベル物理学賞を受賞しています。

日本もまだ捨てたものじゃないですね。

GaNウェハ

GaNってどんなものか、興味がありますよね。

上記の日本ガイシのGaNウェハ、無色透明でとても美しいです。

GaNの用途

上記でも少し触れたように、GaNは、もともとは青色LEDや次世代DVD向け半導体レーザ用の材料として研究が進められました。

そして、GaNを用いた高輝度な青色LEDや緑色LED、Blu-ray Disc用の青紫色半導体レーザが製品化されています。

GaNの多様な用途

参照:GaN研究コンソーシアム

GaNに関する動画

2015/10/16 に公開された、Panasonicの公式動画です。

4分弱ととても短い動画ですが、簡単、簡潔にGaNが説明されているので、お時間のある方はどうぞ。

GaNのメリットとデメリット

メリット
  • 高い電力変換効率
  • 高い電力密度/サイズの縮小
  • 速いスイッチングスピード

これらのメリットは、本当に大きなもの。

なんといっても、「エコ、省エネ」なんですよね。

電力密度が高くなればなるほど、サイズが小さくて済みます。

サイズが小さくなれば、携帯などのデバイスも小型化が図れますよね。

「高い電力変換効率」とは、効率よく電力を変換できること。

すなわち、電力の消費量を抑えられるため、結果的に電気代が安くなります。

GaNは、スイッチングスピードにも優れています。

オフ→オンあるいはオン→オフが遅い、時間が掛かっているという事は、オフとオンの中間の状態に長く留まっているわけで、この状態ではスイッチング素子で損失、つまり不要な電力消費が発生してしまいます。

GaNは、スイッチングスピードが速いので、電力消費効率化が向上。

ということで、ここでも「エコ、省エネ」につながるわけです。

一般的にGaNは、スイッチング電源などの小型・高周波用途で有利だと言われています。

デメリット
  • 高加工コスト
  • 低歩留まり

結局、GaNはSiに比べて「コストが高すぎ」るため、いまいち実用化に踏み切れない、ということでしょうか。

このデメリットの原因を、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の低炭素社会戦略センター(LCS)の資料「低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書」より抜粋します。

GaN は結晶成長時の晶癖のため、特に+C 軸方向に成長させると円錐型に直径がどんどん減少し、長い単結晶が取れないという問題もある。このため、単結晶から数枚~10 枚程度の基板しかとれず、高加工コスト、低歩留まりとなる問題もある。このように、現在の技術は、従来の既存結晶成長技術に比べて高コストとなり、また品質的にも改善の余地が大きい。

したがって、GaNを使用するメリットも大きいけれど、デメリットも大きいんですよね。

簡単に解決されるような問題ではありません。

ただ、開発はどんどん進んでいるので、この先いろいろな改善策が打ち出され、今以上に実用化されていくはずです。

SiCとともに、この先どうなっていくのか楽しみなGaN。

今後も動向を追っていきたいと思います。

POSTED COMMENT

  1. かぼちゃ より:

    moncanaさん、こんにちは。とてもわかりやすい説明で、私もGaNに興味が出ました。応用物理学会の研究会の内容も、落ち着かれたら是非お願いします!

    • moncana より:

      はい、できるだけ早く研究会についてブログ記事にしたいと思います。
      い、いつになるのかな…。

      かぼちゃさんは、Ayumiさんの企画に参加されたんですね。
      クッキーの型、むちゃくちゃ魅力的です。
      ああ、私も早く参加したい!…って、参加本人は子どもですが。

      最近、猛暑が続いていますが、お身体に気をつけてお過ごしくださいね。

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